学校に行きづらく、いわゆる不登校の生徒は青森市に小中高で500人以上いると推定されます。不登校はごく普通の生徒に起こるという認識も広がりつつあります。
学校に行きづらくなったらまず何をしたらいいかということなのですが、保護者や生徒が抱え込まず相談することが何よりも重要です。
- いまどう対応したらいいのか
- これからどうなるのか
- どこに相談したらいいのか
これらの点について相談をすることで、貴重な情報を得たり、新しい視点に気づくことができます。
この記事では、青森市で不登校や登校しぶりについて相談できる場所を、公的機関、民間、任意団体、個人などすべての分野から幅広くまとめました。各相談先が活動中かどうか確認した日付も記載しています。
このブログは、教育の新しい選択肢を伝えるために活動しているちいさな学校のブログです。ネットで不登校の相談先を検索してもまとまった情報が出てこないため、各関係機関に取材し記事を執筆しました。
相談を通じて、生徒・保護者の方がより良い方向に進むことを祈っております。
学校の教員
登校しぶり、不登校の初期段階ではまず学校の方から面談を提案されることが多いです。
現状では、学校に登校させることをゴールにした話し合いになることが多いようです。生徒本人や保護者とゴールの意識が異なる場合もありますので、面談の早い段階ですり合わせるとその後の話がスムーズになります。
相談できる内容は
- 別室登校が可能か
- 保健室登校が可能か
- リモート授業を受講できるか
- フリースクールやICT教材で出席扱いが可能か
などです。
メリット
最もスムーズに、負担が少なく相談することができます。学校の先生の不登校への理解は年々向上しており、生徒や保護者に寄り添った対応をしてもらえるケースが増えています。
デメリット
登校をゴールにしている先生の場合、身体的、精神的に休息が必要な場合でも学校側から「休んだほうがいい」と提案されることはほとんどありません。休息が必要な状況であれば、他の場所への相談も並行して行うのが望ましいです。
また、担任との折り合いが悪いのが原因で不登校になっている場合などは相談すること自体が困難です。
さらに、学校は大きな組織であるため、学校内部でのしがらみがある場合があります。
スクールカウンセラー
不登校やメンタル面への専門知識が深いスクールカウンセラーに相談することも有効です。スクールカウンセラーとの面談は、学校に問い合わせて面談を設定してもらいます。
相談できる内容は
- 何に悩んでいるか
- 子どもにどのように接したらいいのか
- 発達の相談
- 関係機関の紹介
などです。
メリット
不登校対応への専門性が高く、信頼できるスクールカウンセラーに相談できるのは非常に心強いものです。
心理面でのアプローチをするため、登校をゴールにせず広い視点から話し合いができることが多いです。
学校の先生との独立性があり、しがらみが少ないのもメリットの一つになります。以下のデメリットを考慮しても、スクールカウンセラーは非常に頼りになる存在だと言えます。
デメリット
スクールカウンセラーだけで学校への通い方や今後の生活について決定する権限はありません。スクールカウンセラーと学校の先生も踏まえた話し合いの中で決められます。
月数回しか来校されないため、予約の取りにくい場合や継続したサポートが受けられない場合があります。
教育委員会の施設
青森市内には、県と市の教育委員会が運営している適応指導教室が合計2つあります。適応指導教室は相談だけでなく、教科の学習や体験学習などのサポートもしていますので、学校のかわりに通うことも可能です。
相談できる内容は
- 幅広い教育相談
- 適応指導教室の利用について
- 発達や特性の相談
などです。
「適応」させるために「指導」するという恐ろしい名前がついていますが心配する必要はなく、専門性のある先生が対応しています。
メリット
教育委員会の運営する施設ですので、学校と比較すると新しい考えを取り入れた活動をしています。
学校と同じく公的機関であるため、所属している学校との連携が非常にスムーズです。
特定の人間関係やいじめ、担任との相性などが原因の場合、転校せずに公的な施設に通うことができるのがメリットです。原則として費用はかかりません。
デメリット
学校と同じような時間割や座学形式の学習が行われるため、そのような形式が苦手な生徒には向かない場合があります。
受け入れの条件が設定されており、自学自習が可能、通学手段が確保されているなどの条件があります。条件に合わない場合がありますので個別に確認する必要があります。
教育委員会の施設に連絡する時は事前に学校に話を通しておくと理想的です。
青森県の適応指導教室 こころの教育相談センター
活動中(2023/10/13現在)
青森市の適応指導教室 フレンドリールーム「あおいもり」
電話以外にも、メールやChromebookを利用した相談も可能です。
活動中(2023/10/16現在)
フリースクール・居場所
フリースクールとは、従来の学校よりも生徒の自主性を尊重した学習をするスクールで、主に不登校の生徒を対象にしています。居場所とは、フリースクールよりも新しい考え方で、生徒や保護者が安心して過ごせる場所です。
さらにマイナーなものとして、不登校かどうかに関係なく、新しい教育を提供するオルタナティブスクールという言葉もあります。
青森市でもフリースクールや居場所は増加傾向にあります。
相談は無料、実際に通う際には月謝や料金がかかる場合が多いです。その一方で、所得により軽減措置が設けられていることもあります。
相談できる内容は
- フリースクールの活動や理念
- 学校との付き合い方
- 料金の割引制度があるか
などです。
メリット
フリースクール・居場所は非常に強い想いを持って運営されています。行政からの補助はなく赤字経営の場合が多く、それでも生徒を支援したいという気持ちが強いです。
その想いの強さから、行動力や情報収集力が高く、学校、病院、教育委員会を含めた人脈が広いため幅広い情報を持っています。
また、日頃の生徒との関わりから、学校や親御さんが知ることのできない生徒の心理を理解しており、保護者の精神的なサポートも充実していることが多いです。
デメリット
月謝や料金がかかる場合が多く、対象年齢が設けられている場合もあります。
また、運営側の想いの強さがデメリットになる場合があります。フリースクール側の主義主張を押し付けられたり、「支援してあげている」という姿勢のため生徒や保護者の意見を尊重してもらえないなど、違和感を覚えることがあるかもしれません。
スクール・居場所の理念と実際に通う生徒さんの相性を慎重に検討する必要があります。
このめ~Giving Tree AOMORI~
説明会申し込みフォームからの説明会(面談)を受け付けています。
活動中(2024/6/10現在)
ちいさな学校
この記事を執筆しているちいさな学校でも相談を受け付けています。LINEやメールで相談可能です。
活動中(2024/4/1現在)
フリースクール あおもりサニーヒル
お問合せフォームからの無料相談を受け付けています。
閉校(2024/4/1 確認)
親の会
親の会とは、不登校の生徒の保護者が体験を共有したり情報交換をする会です。元当事者や家族が運営している場合が多いです。
不登校に関しては保護者の負担も大きいため、精神的なサポートを受けることは非常に重要です。
相談できる内容は
- 保護者としてどう対応したらいいか
- 実際にどのように対応していたか
- シンプルに話を聞いてもらいたい
などです。
メリット
無料または1000円以下と低価格で参加できます。活動にかかる経費は比較的少なく、話し合いをする会場代などであるためです。
保護者同士の同じ目線ならではの共感できることが多く、話すだけで気持ちが非常に落ち着くことも多いです。また、地域の信頼できるローカル情報を入手できるのも大きなメリットと言えます。
デメリット
不登校の状況は人それぞれですので、親の会の方向性と現在の生徒や保護者の状況が合わない場合があります。
たとえば、生徒が休養すべき段階と、活動に向かっていく段階では空気感が全く違います。落ち込んでいる状況の保護者が、他の家庭の生徒が充実した活動をしている話を聞くことで逆にストレスを抱えてしまう事例があります。
不登校の段階については以下の記事もご参照ください。
青い森でのびのび育つ会
親御さんのおしゃべり会を開催しています。メールでの無料相談を受け付けています。
活動中(2024/5/1現在)
発達障害や生きづらさの支援団体
発達障害やHSPなどの生きづらさを支援する団体も、不登校への理解が深いです。有料のサービスが多いですが、その分しっかりと時間をとって相談できます。専門的な視点からのサポートは非常に手厚いものとなっています。
また、少人数のチームで運営されていることが多く、活動への想いは非常に強いです。
相談できる内容は
- 発達や特性の具体的な対応方法
- 継続的なカウンセリング、コーチング
- 話を聞いてもらいたい
- 関連機関の紹介
などです。
メリット
専門性が高く、強い想いで活動しているため、具体的なアドバイスが受けられます。さらに、傾聴や寄り添いの姿勢など相談しやすい雰囲気作りも工夫されています。
また、継続サポートが一定期間無料で受けられるなど、アフターフォローが手厚い場合が多いです。
デメリット
相談やカウンセリング自体がサービスとなるため、料金が発生します。
はぐとも
発達障害関連講座や個別相談を受け付けています。
活動中(2024/4/1現在)
HSP未来ラボ青森
定期的にオンライン座談会を開催しています。
また、HSC(ひといちばい敏感な子)の子育て講座や個別相談も受け付けています。
活動中(2024/4/1現在)
学習塾
意外と知られていませんが、学習塾が不登校の生徒を受け入れている事例は多くあります。個人経営の塾の方が比較的受け入れている印象があります。
特に不登校対応を掲げていない塾では、面談を設定してもらえるか問い合わせて確認する必要があります。
相談できる内容は
- 学習面の相談
- 塾として通う場合の対応や料金
- 開校時間
などです。
メリット
学習面を重視する場合、塾で学習を進めることができます。また、かつてはガリ勉タイプの塾が多かったのですが、近年は生徒に寄り添う雰囲気の塾が増えています。
個人塾であれば学校よりも長い期間(小学校〜高校など)、生徒と関わっているので役立つ情報を持っていることが多いです。
デメリット
ネットで調べても見つけるのが難しく、実際には生徒を受け入れていてもwebサイトに掲載していない場合も多いです。
学び舎 withY
生徒の学習の他、保護者のグチ聴きコースという面白い取り組みをされています。
塾長は元高校教員で小学校の学習支援員の経験もあり、学校側の事情にも詳しいです。
活動中(2024/4/1現在)
エース塾
午前中に小学生、中学生のコースがあり、不登校の生徒が通塾することができます。
不登校訪問支援カウンセラーなど有資格者が在籍されています。英語や探究的活動、プログラミングなどにも取り組む環境が整っています。
掲載にあたりメッセージをいただきました。
自分のペースで、自分のスピードで、他人と比べても比べすぎることなく、一歩一歩着実に前に進んでいきましょう!
活動中(2024/07/4現在)
美容室、占い、コーチなど
美容室、占い師、コーチなど教育を専門としていない方に相談するのも非常に有効です。なぜなら、様々な層のお客さんと接する中で人脈や情報が集まってくるからです。これまで紹介した相談先よりもはるかにたくさんの人と関わっています。
また、教育が専門でないからこそ話しやすく、堅苦しくない話ができます。誰にでも相談できるわけではない、あるいは同じエリアにいる保護者には話しにくいこともありますので、美容師さんや占い師さんに相談することも有益です。
相談できる内容は
- 他の保護者はどう対応しているのか
- スクールや居場所の紹介
- 話を聞いてもらいたい
などです。
その他
青森県社協「みんなの居場所」&「こどもの居場所」
社会福祉法人 青森県社会福祉協議会が運営するサイトです。様々な団体が実施しているこども食堂などの居場所がまとまっていたり、活動のカレンダーが掲載されています。
青森県「あおもり子ども・若者 支援機関マップ」
青森県による相談窓口・支援機関を紹介した冊子です。紙媒体での配布が前提になっているためか、各団体のwebサイトやSNSは記載されていません。
マップ
お願い
上記の他にも青森市内で相談が可能な場所を知っている方は教えていただけると幸いです。
また、掲載希望の方もLINEまたはメールでご連絡ください。
コメント
不登校の子を持つ親です。
青森市の不登校児童の現状、相談先のメリットデメリットなどの情報ありがとうございます。
八方塞がりの状況だったのでブログをみて気持ちが少し楽になりました。
コメントありがとうございます。
少しでもお役に立てたのでしたらうれしいです。
様々な選択肢や情報を誰でも見られるような社会になるよう、今後も活動していきます。