この記事では、いわゆる不登校についての青森市での現状や高校などの進路について解説していきます。学校に行きづらい生徒、保護者だけでなく、すべての保護者や学校の先生、地域の大人にもぜひ知っていただきたい内容です。青森市での具体的な事例を通じて、先入観や過去の情報をアップデートすることで、不安や偏見が和らぐことを祈っています。
不登校になるのは普通の生徒
世間では不登校イコールひきこもりというイメージがありますが実態は全く違っていて、不登校になる生徒はごく普通の生徒です。文部科学省も
”不登校については,取り巻く環境によっては,どの児童生徒にも起こり得ることとして捉える必要がある。”
と明記しています。
統計としては中学生では5%という統計があり、40人クラスであれば2名が不登校ということになります。ですから、学校に行けない生徒が珍しいわけではなく、同級生から見ても不登校の生徒が珍しい存在であるわけではありません。これも実態を理解する際に重要なポイントです。
『不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)』 28文科初第770号
『令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について』
「戻す」から「選ぶ」へ
かつてはいわゆる不登校に対する最も一般的な対応策は「学校に戻す」ことでした。しかし、最近では新しい法や制度も変わり、多様な教育形態が認められるようになりました。これにより、生徒たちやその家族が選べる道は多様になりました。
現在、フリースクールやオルタナティブスクールを始めとする多くの教育選択肢が存在します。また、学校の中でも保健室登校、別室登校、校内フリースクールなどの選択肢も増えてきています。これらは各々長所と短所があり、家庭の状況や生徒の個性によって最適な形が異なります。
青森市でもこれらの新しい教育形態に対応した制度やサポートが増え始めており、例えば新しいフリースクールや居場所事業が立ち上がる動きがあり、青森市内でも校内フリースクールが誕生しています。それぞれにどのようなメリット・デメリットがあるのかを理解することが重要です。
「つらい思いをして学校に行くくらいであれば、行かなくてもいい」という意見の保護者も多く、不登校への対応は「戻す」から「選ぶ」へと変化しています。
出席しなくても卒業できる(小中学校)
小中学校に関しては、不登校で出席が全く無くても進級・卒業できるのが実情です。正確にいうと、学校側が生徒を進級させない「原級留置」という制度がありますが、実際に適用されることはまずありません。
日本の学校制度はいわゆる「年齢主義」で運用されており、定められた年齢に達すると卒業となります。青森市の実情としては、進級・卒業できなかったという事例は噂話ですら耳に入ってこないという状況です。
参考『公立小中学校管理規則』第7条
不登校の定義と30日ルール
国が考える不登校の定義は、「病気や経済的な理由を除いて30日以上欠席した生徒」となっています。
長期欠席者(年間30日以上 の欠席者)のうち『何らかの心理的,情緒的,身体的あるいは社会的要因・背景により, 登校しないあるいはしたくともできない状況にある者』ただし,病気や経済的な理由に よる者を除いた者をいう。
学校側は欠席30日を一つの区切りとしてとらえているケースもあるため、この定義を知っておくことは重要です。
実際の事例で、生徒が学校に行かなくなった当初は面談や連絡が頻繁だったが、時間が経つとほぼ連絡が途絶え、生徒・保護者は心細く感じたというケースがあります。
この事例では、学校側が欠席を30日以内に抑え、早期に学校復帰を促したいという方針から、初めは積極的に連絡をしていた可能性があります。このように30日が一つの区切りであると知っておくと、学校側の動きが理解しやすくなる場合があります。
参考『学校基本調査』
出席扱いとは?
出席扱いとは、特定の要件を満たした場合、学校に物理的に出席していなくても出席とカウントされる仕組みです。
具体的には以下のような要件があります。
- 保護者と学校の連携が取れている
- 対面指導が行われている
- 校長が認めている
実際には、フリースクールや居場所側も特別な許可は必要はなく、ごく標準的な活動をしていれば出席扱いを認定されています。
認定される方法は特に決まった方法はありません。主に保護者から学校へ出席扱いを認定してほしいと連絡するところからスタートすることが多いです。場合によっては、学校側からフリースクールなどに連絡して出席扱いについて連携を取ることもあります。
青森市の教育委員会は積極的に出席扱いを認める方針であると認識しています。青森市の実情としては、出席扱いはほぼ全て認められているようです。同じように、青森市内の高校生が学校外の活動で出席を認められた事例もあります。
ただし、小中学校は出席なしでも卒業可能で、また次でご説明する通り高校受験においても出席は必須ではありません。これを考慮すると、出席扱いの申請を選ばないという選択も考えられます。
参考『不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)』令和元年10月25日
高校入試も受験できる
県立高校の受験について心配される方は多いですが、いわゆる不登校により長期欠席がある場合は『自己申告書』を記入して受験することになります。
実際に自己申告書を提出して青森市内の進学校に合格した事例があります。私立高校に関しては不合格になること自体が非常に珍しく、欠席数を心配する必要はありません。
通信簿についても心配される方もいらっしゃるので高校受験について少しご説明します。
青森県の高校入試では、テストの点数(最大500点)と評定(最大135点)の合計635点で合格が決定されることが多いです。ですから、合格するためには、合計点が十分であればいいということです。 評定は27〜135点の間で評価されますが、不登校であっても極端に低い点数はつかないようです。
そもそも県立高校は全体として定員割れをしており、全国的にも公立高校離れが進んでいるため出席日数を理由にして不合格を出すとは考えにくい状況です。出席日数と高校の合否にはほとんど影響しないと思われます。
参考『令和5年度青森県立高等学校入学者選抜要項及び青森県立特別支援学校高等部入学者選抜要項』
こちらの記事でも解説しています。
どこに相談したらいいか
青森市内で不登校関連の相談ができる場所をまとめた記事はこちらです。
ちいさな学校でもLINEやメールで無料相談を受け付けています。
まとめ
この記事を最後まで読んでいただき、ありがとうございます。この記事では青森市での不登校の現状を、様々な角度からその実態を掘り下げてきました。すべての人に青森市での現状を知っていただけたらと思います。不登校には一人ひとり全く別の事情がありますが、この記事により不登校で悩んでいる方が少しでも先入観を解消し、より良い方向に進むための小さなきっかけになれば幸いです。